2026年9月2日
職人の日当を上げたい。原資はどこから作るか
「日当を上げてあげたい」という気持ちから
長く一緒にやってくれている職人さんに、もう少し日当を出してあげたい。そう思ったことのある社長さんは多いと思います。人を大事にしたいという気持ちは、経営としてとても大事な感覚です。
ただ、日当を上げるには、当然そのぶんのお金がどこかから出てこなければなりません。「気持ちはあるけど、原資がない」というのが正直なところではないでしょうか。今日は、その原資をどこから作るかを一緒に考えてみます。
日当の原資は「粗利」から生まれる
会社に入ってきたお金(売上)から、材料費や外注費などの原価を引いた残りが粗利です。人件費や日当は、基本的にこの粗利の中から支払われています。
つまり、日当を上げたいなら、売上を増やすことよりも先に「粗利をどう厚くするか」を考える必要があります。同じ売上でも、粗利率が低ければ人に還元できるお金は少なく、粗利率が高ければ余裕が生まれます。
粗利を厚くする方法は、大きく分けて2つです。
1. 受注単価を上げる(安売りをやめる)
相見積もりで値段勝負をして受注する工事は、粗利が薄くなりがちです。値引きは粗利からまるごと削られるので、頑張って受注しても、職人さんに還元できるお金は増えません。
「安くしないと仕事が取れない」という不安はよくわかります。ですが、安さで選ばれたお客さまは、次も安さで比べます。そのしわ寄せは、結局は現場で汗をかく職人さんの日当に向かいます。値引きに応じる前に、「この値引きは、誰の取り分から出ているのか」を一度考えてみてください。
2. 段取りロスを減らす
もう一つは、同じ受注単価でも、無駄な時間を減らして粗利を残す方法です。
- 材料が現場に届かず、職人さんが手待ちになっていないか
- 図面や仕様の確認漏れで、手戻りが発生していないか
- 現場の移動や駐車場探しに、思った以上の時間がかかっていないか
こうした「段取りロス」は、売上には出てこないのに、確実に粗利を削っています。1件1件は小さくても、積み重なると日当1日分くらいの差になることも珍しくありません。
今週やってみること
いきなり全部を見直すのは大変なので、まずは直近で終わった工事を1件だけ選んで、次の3つをメモしてみてください。
- 見積もりの金額から、値引きをいくらしたか
- 実際にかかった日数と、見積もりで見込んでいた日数の差
- 手待ちや手戻りがあった場面はどこか
これだけで、「値引き」と「段取り」のどちらに原資が食われているのかが、ぼんやりと見えてきます。原因が見えれば、次の見積もりや現場の組み方で、具体的に手を打てるようになります。
お金の相談は、一人で抱えなくていい
粗利や単価の話は、頭ではわかっていても、自社の数字に落とし込むのは意外と難しいものです。「うちの場合、どこから手をつければいいか」を整理したいときは、税理士に相談してみるのも一つの方法です。数字の見方を一緒に整理してもらえるだけでも、判断は速くなります。
なお、会計や税金の制度は変わることがあるので、最新の内容は税理士や関係機関の窓口で確認してください。
まとめ
- 日当を上げる原資は「粗利」の中にある
- 値引きは粗利からまるごと削られる。安売りをやめることが人を守ることにつながる
- 段取りロス(手待ち・手戻り・移動)も粗利を静かに削っている
- まずは直近の1件を選び、値引き額・日数差・手待ちの有無をメモしてみる
小さな1件のメモが、職人さんの日当を上げる第一歩になります。