2026年8月21日
いくらで受けたら赤字?固定費でわかる損益分岐点
「この工事、利益は出ているのか」「今月は忙しいはずなのに、なぜか通帳が増えない」。そんなモヤモヤを感じたことはありませんか。
売上の大きさに一喜一憂していると、実は仕事をこなすほど苦しくなっている、ということが起こります。原因の多くは、「毎月どれだけのお金が出ていくか」を把握しないまま、値段を決めていることにあります。
今回は、専門用語を使わず、「月にいくら稼げればトントンか」をざっくり知る方法をご紹介します。会計の知識がなくても、今週中に紙一枚でできます。
「損益分岐点」は難しい言葉ですが、考え方はシンプルです
損益分岐点というと身構えてしまいますが、意味はとても単純です。
「毎月出ていくお金(固定費)を、その月に稼いだ利益でちょうど払いきれるライン」のことです。
このラインより稼げば黒字、届かなければ赤字。それだけです。工務店の仕事は現場によって金額もバラバラなので、「今月は何件やったら黒字か」が感覚だけではつかみにくいものです。だからこそ、一度紙に書き出して、自分の中の「合格ライン」を持っておくことが大切です。
まず、毎月の固定費を書き出してみましょう
固定費とは、仕事が忙しくても暇でも、毎月ほぼ同じだけ出ていくお金のことです。材料費のように現場ごとに変わるものは含めません。
固定費の例
- 事務所や倉庫の家賃
- 車両のローンやリース料、保険料
- 電話代・ネット代・ソフトの利用料
- 社会保険料や、社員に毎月固定で払う給与部分
- 社長自身の生活費(役員報酬として決めている額)
- 税理士報酬などの固定的な支払い
通帳やクレジットカードの明細を1〜2か月分見返せば、だいたい書き出せます。細かい端数にこだわらず、「毎月だいたいこれくらい」で構いません。すべて足すと、月の固定費の合計が出ます。
固定費の合計が「稼ぐべき利益」の目安になります
固定費を全部足した金額。これが、その月にあげなければならない「利益(粗利)」の目安です。
粗利というのは、工事金額から材料費や外注費など、その現場のために直接かかったお金を引いた残りのことです。この粗利の合計が固定費と同じかそれ以上になれば、その月はトントンか黒字。届かなければ、たとえ売上の数字が大きくても赤字ということになります。
ざっくり計算のやり方
- 今月受けている(受けようとしている)現場を並べる
- それぞれの見積から、材料費・外注費などを引いて、大まかな粗利を出す
- 全部の粗利を足す
- 固定費の合計と比べる
このとき、社長自身が現場に出ている時間の人件費を粗利からきちんと引いておくことも忘れないでください。ここを抜かすと、実際より数字が良く見えてしまいます。
わかったら、次にすること
固定費の合計が見えると、「今月はあと粗利であといくら必要か」が具体的な数字になります。そうなると、値引きの相談をされたときも、「ここまでなら受けられる」「これ以下は他の現場でカバーしないと厳しい」と、感覚ではなく数字で判断できるようになります。
これは節税や融資の話とは別の、日々の経営判断のための道具です。もし数字を出してみて不安になったり、固定費の分け方に迷ったりしたときは、一人で抱え込まず、税理士に紙一枚を見せて相談してみてください。税金や制度に関わる細かい判断は、最新の内容を専門家や窓口で確認するのが安心です。
まとめ
- 損益分岐点とは「固定費を稼ぎきるライン」というシンプルな考え方
- まずは毎月の固定費を書き出し、合計を出す
- 現場ごとの粗利を足して、固定費と比べるだけでOK
- 社長自身の人件費も粗利から忘れずに引く
- 迷ったら数字を持って税理士に相談してよい
今月の固定費、一度紙に書き出すところから始めてみませんか。