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「節税」の前に、まず手元のお金を見る

「節税」の前に、まず手元のお金を見る

決算前に「何か買った方がいい」と言われて

決算が近づくと、こんな話を聞くことがあると思います。

「利益が出てるなら、今のうちに何か買った方がいいですよ」

たしかに、必要な工具や車両を経費にすれば、税金は減ります。ただ、ここで一度立ち止まってほしいことがあります。それは「税金を減らすこと」と「手元のお金を守ること」は、まったく別の話だということです。

税金が減っても、お金は増えない

たとえば100万円の道具を買ったとします。経費が増えるので、その分利益が減り、税金も減ります。ですが、実際に財布から100万円が出ていったことは変わりません。

税金が10万円減ったとしても、手元からは100万円が出ていっています。差し引きで見れば、お金は90万円減っているわけです。「税金が減った=得をした」と感じてしまいがちですが、手元の現金という物差しで見ると、話はまったく逆になります。

これが、黒字なのにお金が足りなくなる原因のひとつです。利益の計算上は問題なくても、現金は別の動きをしています。

まず見るのは「今月、いくら残るか」

だからこそ、税金の話をする前に、まず見てほしいものがあります。それは、今月と来月、いくら入ってきて、いくら出ていくか、という現金の動きです。

  • 今月、入金される予定の工事代金はいくらか
  • 今月、材料費や外注費、人件費でいくら出ていくか
  • 差し引きで、手元にいくら残りそうか

これだけです。難しい計算表を作る必要はありません。通帳とにらめっこしながら、大きな入出金だけを紙に書き出してみるだけでも、見え方はかなり変わります。以前の記事「5分でできる、いちばん簡単な資金繰り表の作り方」で紹介したような、ごく簡単なもので十分です。

この「今月いくら残るか」がはっきり見えている状態で、はじめて「じゃあ今、設備を買うべきか」という判断ができます。逆に言うと、これが見えていないまま「節税になるから買う」と決めるのは、順番が逆なのです。

「節税」より「使い道」で考える

もうひとつ大事な視点があります。それは、その買い物が実際に仕事の役に立つかどうかです。

必要な工具や、これから確実に使う車両であれば、経費になることも合わせてプラスに働きます。ですが、「税金を減らすため」だけの理由で、今すぐ必要ではないものを買ってしまうと、お金だけが減って、仕事には特に役立たない、ということも起こり得ます。

判断の軸は、あくまで「うちの仕事に必要か」です。税金が減るかどうかは、そのあとについてくるおまけくらいに考えておくと、判断を誤りにくくなります。

個別の判断は、税理士に相談を

「この買い物は経費になるのか」「今年はどれくらい税金がかかりそうか」といった具体的な話は、この記事だけでは判断できません。工務店ごとに状況が違いますし、税制は変わることもあるので、最新の内容は税理士や税務署の窓口で確認してください。

大事なのは、丸ごと専門家任せにすることではなく、社長自身が「今月、手元にいくら残るか」を先に把握しておくことです。その数字を持って相談すれば、税理士との話もぐっと具体的になります。お金の不安は、一人で抱え込まず、数字を見せながら相談していいものです。

まとめ

  • 税金が減っても、手元のお金が増えるわけではない
  • 決算前の買い物は、まず「今月いくら残るか」を確認してから判断する
  • 買い物の軸は「仕事に必要か」であって、「税金が減るか」ではない
  • 個別の税金の判断は、必ず税理士や窓口で最新情報を確認する

まずは今週、通帳を見ながら「今月いくら残りそうか」を書き出すところから始めてみてください。