2026年8月27日
赤字工事はなぜ生まれる?見積で見落とす3つの落とし穴
「ちゃんと見積もったはずなのに、終わってみたら儲けが薄い」。そんな工事、心当たりはありませんか。
赤字工事の多くは、現場のミスより先に、見積の作り方の中に原因が隠れています。今回は、見積段階で起こりやすい3つの落とし穴と、その防止策をお伝えします。
落とし穴1:諸経費の入れ忘れ
見積書の材料費と手間賃はきちんと積み上げていても、諸経費が抜け落ちていることがあります。
- 現場までのガソリン代・駐車場代
- 養生資材やゴミ処分費
- 職人さんへの差し入れ・現場での細かな消耗品
- 事務作業や打ち合わせにかかる時間
これらは1件あたりの金額は小さくても、積み重なると無視できない額になります。見積のたたき台には「諸経費○%」という項目を先に決めておき、工事金額の合計に自動で乗るようにしておくと、入れ忘れが起きにくくなります。
防止策
過去に終わった工事を数件、材料費・手間賃・実際にかかった諸経費を並べて見比べてみてください。「諸経費は工事金額の何%くらいが実態に近いか」の目安が見えてきます。この目安を見積のひな形に組み込んでおけば、案件ごとに考え直す手間もなくなります。
落とし穴2:工期延びの読み違い
天候や近隣対応、追加の下地補修などで、工期が予定より延びることは珍しくありません。工期が延びれば、その分だけ職人さんの人件費や現場管理の時間もかかります。
問題は、見積の時点で「予定通り進んだ場合」の日数だけで計算してしまうことです。予定通りに進む工事のほうが、実は少数派かもしれません。
防止策
見積の工期には、あらかじめ「予備日」を1〜2割ほど上乗せしておきましょう。予備日を使わずに終われば、それは社長の利益として残ります。逆に予備日がなければ、延びた分はまるごと持ち出しになります。工期の読み違いは、社長の頑張りではどうにもならない部分も多いので、最初から余白を織り込んでおくのが安全です。
落とし穴3:端数値引きの積み重ね
「キリのいい数字にしましょう」「もう少しなんとかなりませんか」。お客様との会話の中で、つい端数を値引いてしまうことがあります。1回あたりは数千円でも、材料の追加値引き、工賃の端数調整、最後の総額調整と、値引きが何度も重なると、気づかないうちに粗利を大きく削っていることがあります。
防止策
値引きをする・しないの前に、「この工事の粗利は何%を目指すか」を見積の段階で決めておきましょう。値引きの相談を受けたときは、その場で即答せず、「粗利がどれだけ減るか」を頭の中でひと呼吸置いて確認する。これだけで、なんとなくの値引きはぐっと減らせます。
見積の仕組みを、社長の感覚だけに頼らない
3つの落とし穴に共通するのは、「なんとなくの経験」だけで見積を作ると、抜けが出やすいということです。諸経費の目安、工期の予備日、目標の粗利率。この3つを見積のひな形にあらかじめ組み込んでおけば、忙しいときでも見落としが減ります。
工事ごとの原価の考え方や、粗利率の妥当な水準について迷ったときは、一人で抱え込まず、税理士など数字の専門家に相談してみるのも一つの方法です。制度や目安は時期によって変わることもあるので、そのあたりも合わせて確認しておくと安心です。
まとめ
- 諸経費は「%」でひな形に組み込み、入れ忘れを防ぐ
- 工期には予備日を1〜2割上乗せしておく
- 値引きの前に「目標の粗利率」を先に決めておく
見積の仕組みを少し整えるだけで、忙しい中でも赤字工事はぐっと減らせます。まずは直近の工事1件を振り返るところから、今週始めてみましょう。