2026年8月21日
何度も同じことを教える前に、AIでマニュアル化
「それ、先週も教えましたよね」の正体
新人さんに現場の段取りを教える。外注の職人さんに、いつもの仕上がりの好みを伝える。お客様への電話の受け方を、パートさんに説明する。
こうした「教える時間」は、意外と社長の一日を削っています。しかも困ったことに、一度教えても、しばらくすると同じ質問がまた返ってきます。教える側は「前も言ったのに」と感じ、教わる側は「聞きにくいけど、また聞くしかない」と感じる。この噛み合わなさの原因は、教わる人の物覚えが悪いからではありません。単純に、文字になっていないからです。
社長の頭の中には、長年の経験でできあがった「うちのやり方」がぎっしり詰まっています。ただそれは、社長本人にとっては当たり前すぎて、わざわざ書き残す発想が浮かびにくいものです。だからこそ、そこにAIの出番があります。
AIは「聞き役」として使う
マニュアル作りというと、机に向かって一から文章を書くイメージがあるかもしれません。ですが、それでは結局後回しになりがちです。おすすめしたいのは、AIに向かって話すように説明するやり方です。
やり方は簡単です。
- 「新人に現場の段取りを教えるときの話をまとめたい」とAIに伝える
- 朝一番に何をするか、道具の準備は誰がやるか、休憩のタイミングはどうかなど、思いつくままに話す(音声入力でも、箇条書きの殴り書きでも構いません)
- 「これを、新人が読んでわかる手順書にして」とお願いする
すると、社長が話した内容がそのまま整理され、見出しつきの手順書のたたき台になって返ってきます。ここで大事なのは、最初から完璧を目指さないことです。まずは下書きが出てくればよく、抜けている部分や言葉の違いは、あとから社長が直せば十分です。
新入社員に教える順番で、1つずつ
以前の記事でも触れましたが、AIとの付き合い方は「新入社員に仕事を教える順番」と同じです。マニュアル作りも一気に全部やろうとすると、途中で力尽きます。
まずは、一番よく聞かれること、一番教えるのが面倒なことから1つだけ選んでみてください。たとえば「見積書を出すまでの流れ」「お客様からのクレーム電話の一次対応」「材料発注の頼み方」など、社長以外にもできるようになってほしい仕事です。
1つできたら、そのマニュアルを実際に新人さんや外注さんに渡してみましょう。「ここがわかりにくかった」という声が出てきたら、それをまたAIに伝えて直せばいい。使いながら育てていく感覚で十分です。
私たちJibuLaboでも、毎朝のブログ投稿やSNSへの発信をAIに任せていますが、それができるようになったのも、最初に「どんな言葉遣いで、何を書くか」を一つひとつ文字にしてAIに渡したからです。マニュアル化は、社長の頭の中の仕事をAIやスタッフに引き継ぐための、最初の一歩なのです。
判断とお客様との関係は、社長に残す
ここで一つ、はっきりさせておきたいことがあります。マニュアルに書き起こせるのは、あくまで「手順」や「やり方」です。値引きをどこまで許容するか、このお客様にどこまで踏み込んで提案するか、といった判断そのものは、簡単に文字にできるものではありませんし、無理に手放す必要もありません。
AIとマニュアルが引き受けてくれるのは、「毎回同じことを説明する手間」です。判断とお客様との信頼関係という、社長にしかできない仕事の時間を作るために、そこ以外の部分をAIに任せる。この線引きを意識しておくと、マニュアル作りに迷いがなくなります。
まとめ
- 社長が繰り返し口頭で教えていることこそ、マニュアル化の候補
- AIには「話すように説明する」だけでよく、整理と文章化はAIに任せる
- 一気に全部ではなく、一番よく聞かれることから1つずつ着手する
- 値引きなどの判断やお客様との関係は、これまで通り社長の仕事として残す
今週、新人さんか外注さんに「また同じこと聞かれたな」と感じた瞬間があったら、それこそが最初のマニュアル候補です。その場でスマホにでも話しかけて、AIに整理してもらうところから始めてみてください。