2026年7月22日
小さな工務店がエリアを広げても儲からない本当の理由
「エリアを広げれば仕事が増える」は誤解
チラシを配る枚数を増やしたい、もっと多くの人に見てもらいたい。そう思うと、つい商圏を広げたくなります。隣の町まで、隣の駅まで、車で30分圏内まで。
でも、ここに落とし穴があります。エリアを広げるほど、実は一件あたりの「もうけ」は薄くなっていくのです。今日は、なぜ5000世帯・半径1.5kmくらいの狭いエリアのほうが儲かるのか、移動時間やガソリン代、掛け持ちのしやすさという「地味だけど効く」部分から見ていきます。
移動時間は、そのまま「働いていない時間」
現場から現場への移動は、お客様には見えませんが、社長やスタッフの時間をしっかり食っています。
たとえば片道20分かかる現場と、片道5分の現場。1日に3件回るなら、移動だけで前者は1時間、後者は15分です。この差は、1日ではそれほど大きく感じないかもしれません。でも1ヶ月、1年と積み重なると、大きな差になります。
狭いエリアなら、朝イチの現場から次の現場、そのあとお客様への顔出しまで、すきま時間でこなせます。「ついでに寄れる」距離だから、1日にできることが増えるのです。
ガソリン代・車の消耗も、地味に効いてくる
移動時間だけでなく、ガソリン代や車の消耗も見逃せません。エリアが広がれば広がるほど、走る距離が伸びます。これは経費として毎月出ていくお金です。
一件の工事の利益を考えるとき、材料費や職人さんの手間賃は細かく計算しても、移動にかかるガソリン代や車の減り具合まで計算に入れている人は少ないのではないでしょうか。狭いエリアなら、この見えにくいコストを自然と抑えられます。
掛け持ちのしやすさが、忙しさを支える
小さな工務店や一人親方は、何でも自分でこなさなければなりません。朝は現場、昼は打ち合わせ、夕方は見積もり、夜はチラシのポスティング。
エリアが狭ければ、この「掛け持ち」がぐっとやりやすくなります。現場の合間に近所のOB様のお宅に顔を出す、見積もりのついでに気になっていたお宅にチラシを持っていく。こうした「ついで」の動きは、エリアが広いとできません。狭いからこそ、一日の中でいくつもの用事を無理なく詰め込めるのです。
顔を覚えてもらえる密度が、信頼をつくる
そしてもう一つ、大事なのが「密度」です。
5000世帯という狭いエリアなら、同じ道を何度も通ることになります。ポスティングも、現場での作業も、ちょっとした立ち話も、同じ顔ぶれの中で繰り返されます。
「あ、またあの工務店の車が通ってるな」「この前チラシを入れてくれた人だ」。こうした積み重ねが、いざという時に「あそこに頼もう」と思い出してもらえる存在につながります。エリアを広げてしまうと、この密度が薄まり、一度会っただけの人になってしまいます。
広げるほど、実は「気持ち」も薄まる
移動時間、ガソリン代、掛け持ちのしやすさ、顔を覚えてもらえる密度。どれも数字で見えにくいものですが、積み重なると経営の体力に直結します。
そしてもう一つ大事なのは、狭いエリアに絞ることで「この街は自分が守る」という気持ちが生まれやすいということ。広く浅くではなく、狭く深く関わることで、お客様との距離もぐっと近くなります。
もちろん、エリアの適正な広さは、地域の世帯数や人口密度、車の使いやすさによっても変わってきます。ご自身の商圏について迷ったときは、地域の情報や商工会などの窓口で、地域の実情を確認してみるのもよいでしょう。
まとめ
- エリアを広げるほど、移動時間・ガソリン代というコストが増えていく
- 狭いエリアなら「ついで」の掛け持ちがしやすく、一日にできることが増える
- 同じ道を繰り返し通ることで、顔を覚えてもらえる「密度」が生まれる
- 密度は「いざという時に思い出される」信頼につながる
まずは自分が今チラシを配っているエリアの広さを地図で見直すことから、今週始めてみませんか。